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  • Kosuke Tsubota

医師じゃないから書ける医局制度その3

最終更新: 2019年8月20日

医局制度に関して、外の世界からみえる事実の一つとして受け止めて頂けると幸いです。

今回がその3となります。今まで、 「医師じゃないから書ける医局制度その1」 としてまとめると、 医局というのは、大学の診療科別の組織もしくは集団。その集団に所属する医師の教育や人材派遣機能などの人事権を持つが、雇用関係などは存在しない。そのために、産休育休制度が活用出来ない、保育園に入りにくく職場復帰しにくいなどの問題が生まれる」と書きました。

医師じゃないから書ける医局制度その2」では、まとめると「医局が人事業務を担っているのに重要な3点、業務内容・給料・職場環境を把握していない」ことを書きました。

今回、その3では、医局だけが悪いのではなく、医師も労働者としての責任を実施しなければならないことを記載致します。それは、賃金法定三帳簿の 「出勤簿」 がしっかりと実施されていないことが問題です。今年2019年7月に名古屋で開催された第21回日本医療マネジメント学会学術総会「私たちの働き方改革 良質で成熟した日本の医療を目指して」では、正にそのポイントが指摘された岡山大学の導入事例が発表されました。

岡山大学では、 Beacon(ビーコン)を活用した医師の出勤管理のことを発表されていました。Beaconとは、IoT(Internet of Things)のツールとして活用されている光や電波を発信する固定された無線の装置とその光や電波信号を電子機器が受信して現在地を知るのに使われる機械のことをいいます。Bluetooth Low Energyという低消費電力・近距離無線技術といわれたシステムのことです。

皆さんのスマートフォンでも既に使われている技術であるので、意識していないだけで体感されたことはあると思います。専用アプリとBeaconが連動されて、一部の店舗に近づくとアプリがお店のおトク情報が表示されて、思わず店舗に寄りたくなるというような仕組みです。

コンビニエンスストアやチェーン店が導入していることが多いので、専用アプリをダウンロードした途端、お店の近くを通ると情報が届いた経験がありましたら、それがBeaconです。私は、ある電子マネーアプリをインストールしたところ、保育園の近くのローソンが目の前を通る度に情報を発信してくるので、あまりにも情報が届くのでシャットアウトしてしまいました。そのような形で、気が付かない間にアプリに組み込まれていますので、気になりましたらスマートフォンを確認してみて下さい。ここまで説明させて頂ければ分かると思いますが、病院にこのBeaconが設置されるとスマートフォンを持っている人がどこにいるのかが判明出来ます。

そのため、スマートフォンを持っている医師がどこに存在しているのかが分かるので、出勤してきているのか?外出しているのか?が分かります。それだけだと発表するには、あまりにも初歩すぎます。岡山大学では、勤務の定義を「病棟」と「診察室」等にいる時間帯を勤務時間として、「医局」にいる時間帯は基本的に勤務外の時間帯として申請によって勤務時間に変更することが出来るということを実施致しました。はっきり言うと出退勤の習慣がついていれば、そこまでシステムを使わなくてもいいのではないかと思われるような内容ですが、出退勤簿をつける習慣がなく、つけるように伝えると拒否反応を起こすような文化がある医師という職種では、ここまで仕組み化してあげないといけない状況です。

誤解を恐れずに言うと家畜管理システムに似ていることは否定できません。費用対効果の面ですが、導入したことによって逆に事務員の出退勤簿管理に関する人件費が削減されたというので、いかに医師がムダな事務作業を生じさせて、病院の利益率を下げてきていたのかとげんなりします。直接売上のほとんどを創り出すのが医師という資格であるから仕方がないのかもしれませんが、私ならばここまで管理される前にタイムカードでも一般の出勤簿でもいいので、そちらで実施してもらいたいです。少し話が外れますが、Beaconを院内で導入している事例としては、新しい事例を創り出すのが得意な東京慈恵医科大学附属病院が2017年にBeaconを設置して、患者さんの迷子を防ぐ、患者さんをご案内する仕組み「院内ナビゲーションシステム」というものを株式会社ジェナを展開しています。

スマートフォンで案内する以外に、ロボットのペッパー君が案内してくれるシステムです。私自身、慈恵医科大学病院にお見舞いに伺った際に迷子になった経験もありますし、母校である慶應義塾大学病院で実習の時に迷子になった経験があるので、体調を崩している患者さんやご家族さんのことを考えると必要なシステムだと思います。正直、大学病院は、白い巨塔というよりも、白い迷宮です。

さて、本題に戻しますと、このようなシステムを導入していないと医師の勤務実態というものが、ブラックボックスに入ってしまっているというのが現状となっています。医局が直轄している大学病院の中でさえ勤務実態が把握できていない状況です。

直轄で把握できていないものですから、関連病院と呼ばれる外病院では、もっと勤務実態が把握できていないことがあり、本来出勤する予定の日に医師が、バイトに出かけているということが黙認されていることも未だにある世界です。また、携帯電話が医療機器に影響を及ぼさないことを証明する研究がたくさんされている現在において、未だに携帯電話ではなくて、PHSを病院が使用しているのは、医師が病院から抜け出さないようにするためと言われるぐらい医師の勤務実態が不明です。過労死ラインの二倍とはいえ、医師に残業時間の上限が年間1860時間となりましたので、今後勤怠管理に関しては、今まで以上に厳密になっていく傾向にあります。

しかし、人事を司る医局が勤務実態を把握できていないということは、人のキャリアに影響を及ぼす組織としては、無責任であると言わざるを得ません。そして、勤怠管理がないという環境が組織運営者にとって有利であり、労働者としては不利なことをしっかりと踏まえて、社会人として当たり前のことを医師にも実施して頂きたいものです。一方、多くの医師が患者さん対応に追われていて、出退勤なんて細かく面倒くさいものにかまっていられないという働きすぎな現状を創り出してしまっている患者側からも変えていかなければいけないのも事実です。

やはり、チャンスは、いろいろなところにあります。ワクワク喜ぶことを起業しましょう♪


関連ブログ

医師じゃないから書ける医局制度その1:医局とは

医師じゃないから書ける医局制度その2:人事業務での問題点

医師じゃないから書ける医局制度その3:勤務管理での問題点

医師じゃないから書ける医局制度その4:医局の所属

医師じゃないから書ける医局制度その5:医局の構成

医師じゃないから書ける医局制度その6:医局の構成関連病院に関して

医師じゃないから書ける医局制度その7:医局に医師が集まる理由

医師じゃないから書ける医局制度その8:医局のメリット


参照

日本医療マネジメント学会: http://jhm.umin.jp/

第21回日本医療マネジメント学会学術総会: http://www2.convention.co.jp/jhm2019/

岡山大学病院: https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/

東京慈恵医科大学附属病院: https://www.hosp.jikei.ac.jp/

株式会社ジェナ: https://www.jena.ne.jp/