• Kosuke Tsubota

医療マニア:安藤忠雄の病院建築


私が、医療マニアであるということは、以前ブログでご紹介させて頂きました。今まで自由に記載してきたブログですが、執筆や講演の依頼を頂くようになって求められたものを書くようになってからブログを書かなくなってしまいました。自由に書ける場所を改めて自ら作るために始めたブログなのに、比較的多くの人に関心が持ってもらえそうな起業に関係することを書いていて自由なことを書いていなかったことに改めて気が付かされました。実は、先日のブログで紹介したコンテンツビジネスに関することでシンカリオン、最終回を大切にみている子供たちに学ばされました。子供たちは、終わった後に4歳と2歳の二人で「これからちょっと寂しくなるね」とハグしあって、新幹線の洋服を着て、新幹線のスタイをつけて、新幹線の靴下をはいて、全身で父に本質を教えてくれました。


ただ、医療マニアのことを記載する勇気もそこまでないので、今まで会話してきた中で多くの人に関心を持ってもらえた話題で記載します。 建築に関心がない方でも名前をきいたことがある安藤忠雄氏が建築を手がけた医療機関に関してです。少しだけ安藤忠雄氏の紹介をさせて頂きますと、建築業界のノーベル賞といわれているプリツカー賞を受賞していたり、世界文化賞などを受賞していたりする世界的に有名な建築家です。東京大学の名誉教授もされております。

その安藤忠雄氏が手掛けた医療機関が日本には2つあります。1つは、大阪府和泉市あゆみ野にある老木レディースクリニック2です。こちらのクリニックは、眺めがよくて雰囲気がいい一階部分に病床施設があって、地下一階に診察スペースがあります。そのため、実際には二階建てのものですが、外見からも雰囲気が異なっているものになっています。こちらの地下を使って創っていく方法等は、世界から富裕層が集まる同じく安藤忠雄氏が手掛けた直島美術館も地下を活用していく形になるので、直島まで行かなくても体感することが出来るクリニックだと思っています。2010年に安藤忠雄氏がこちらの建築をご依頼した際に、院長である老木正彰先生からの依頼は一つだけだったといわれています。「出産後も生まれた子どもと何度も訪れたくなるような病院にしてほしい」 ということです。そのため、外からみると緑の中にコンクリートという形ですが、地下一階には中央に水盤を設計してあります。特に、水面は時々刻々とその表情を変え、新たな命の誕生を演出するとともに、お母さんたちに癒しが届けるような演出してもらいたいと思っているということです。


もう一つの医療機関は、クリニックではなく、病院となります。(※クリニック及び診療所は、19床以下の病床をもっている医療機関です。そして病院は、19床以上の病床がある医療機関です。つまり、医療機関の中でも病院という場は、患者さんの生活空間の側面があるのです。)老木レディースクリニック2では、再度来院もできるようにというコンセプトがありますが、入院するような施設には、患者さんとしては来院したくないのが事実です。そのもう一つの医療機関は、安藤忠雄氏が手掛けた際には、福原病院という名前でした。現在は医療法人社団青泉会下北沢病院という名前になっております。場所は、 東京都世田谷区北沢にあります。私は関東にいるので、実は何度も足を運ばせて頂いています。そして、医療法人社団青泉会は、ロート製薬と仲が良く、アンチエイジングの研究やサービス等、多様な医療サービス、医療ビジネスの挑戦をして切り開いてきております。そのような意味でも、大変好きな病院の一つです。最近では、二法人だけの関係だけではなく、世界にはあるが、まだ日本にない足病学(ポダイアトリー)という分野に対して、足と靴の第一人法人であるアシックスとロート製薬、下北沢病院と一緒に共同開発を致しました。形としては、外からはちょうど茶沢通りに面して、まるい病院となっています。実際には土地の形である半円のような、弧を描いた作品になります。


そして、素材ですが、コンクリート打ちっ放しの造りになっている病院となっています。こちらの地下一階には、利用者の健康促進のためにプールがあります。プールがある病院なんて、なかなかありません、私はこの病院の地下から漂ってくる塩素の臭いだけで、新しい挑戦をしている病院という感覚に触れます。そして、半円になっているので、とても気になる部分が一つあります。それは、一番端っこの病室の形がどのようになっているのかです。私は気になって気になって仕方がなかったので、病室内の見学までさせて頂きました。(※このような、見学の許可を取得する際には、看護師という免許を取得していてよかったと感じます。)正直、少し使いにくい三角のような形の病室となっておりましたが、そこは患者さんと一緒に未来の医療に挑戦していく病院です。患者さんに不便をかけずに、快適にすごせるように、各階細かな気遣いがありました。ただ、看護師さんが毎日行っているラウンドと呼ばれる病室を周る巡廻業務ですが、最近では電子カルテがのっているので、必ず持ちまわっているカートと呼ばれる運搬車台があります。その使い方がすこし不便かな?と思うところはありますが、そこは病院のミッションビジョンに共感しているスタッフ同士の工夫が、アンノウンナレッジとして積み重なってステキな病院になっております。また何とも言えないのが丸い廊下の世界です。


実際に患者さんの気持ちになって歩いてみるとわかりますが、直線的な廊下は手すりを使っていると遠くにいる患者さんの姿がみえます。その時、お互いに歩き方から表情まで、お互いの姿が丸見えで個人情報がありません。丸い廊下だと近くになれば、お互いの存在が分かりますが、そのようなプライバシー?弱っている見せたくない姿が丸見えなことはありません。地味に好きな点です。そして、横浜市立大学病院での患者取り違え事件以降、患者さんの取り違えが起きないように廊下の幅の基準が変えられました。患者さんのベッドが間違えられないように、ベッドがすれ違わないように廊下の幅を変えた方がいいという看護師さん達の再発防止策です。こちらの丸い病院では、形というデザインからベッドがすれ違わないようになっています。ここに私はデザインの力を感じます。看護の発祥は、ナイチンゲールといわれています。ナイチンゲールは看護師の教科書「看護覚書」の前に、「病院覚書」という書籍を執筆しています。看護は、医学だけじゃなく、病院の形も考える、デザインも考えるとナイチンゲールはいっています。現在は、横断的世界ですが、細分化した世界です。この細分化されていった世界の中で、デザインと医学と看護とがコラボレーションして出来上がっているこの病院が好きです。医療ビジネスには、このような病院デザインという世界もあるのです。

(※病院建築の授業を東工大教授がするというので、聴講させてもらいにいったことがある学生時代の話はまた今度します。)


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