• Kosuke Tsubota

医療マンガの始まり

私は、留学していた時に悩んだのが、週刊マンガ購入できなくなることぐらい好きです。

実は、小学生の頃マンガ禁止の家に育っていました。そのため、この季節・夏に祖父母の家に行くと叔父が買ったマンガを隠れて読むのがとても楽しみなものでした。その中でも、一番ハマったマンガが、「きりひと讃歌」と「ブラックジャック」です。医療に興味がある人だったものが、医療マニアに育っていったのは、この作品のお陰だと思います。有名な作品でファンが多いのですが、ブラックジャックこと間黒男医師の外科医としての神の手を中心としたストーリーで医療制度のことがたくさん書かれています。

マンガの神様と呼ばれる手塚治虫先生は、大阪帝国大学附属医学専門部卒業され、医師免許取得後に、奈良県立医科大学にて医学博士まで取得されています。手塚治虫先生以前にも、マンガはありましたし、1963年に連載スタートし、1966年に映画化された白い巨塔(著者:山崎豊子)のような医学界をテーマとしたフィクション作品はありましたが、それが掛け合わさった作品はありませんでした。1970年にビックコミックで連載された「きりひと讃歌」が、医療マンガ世界を切り開いた作品だと感じられます。マンガの中で取り上げられている難病は、フィクションのものでありますが、医局制度や医学界に関すること等を取り上げた社会派作品です。

きりひと讃歌」も「白い巨塔」と同様、大阪大学医学部がモデルとなっています。作品として「白い巨塔」が、先に発表されていますが、手塚治虫先生としては、母校がたまたま「白い巨塔」のモデルになっただけで、母校をモデルに「きりひと讃歌」を執筆したと考えられます。少年誌である週刊チャンピオンで連載された「ブラックジャック」と比べて、ビックコミックと青年誌で連載されていた「きりひと讃歌」は、より医学界の権力闘争や風土病、障害者に関することなどテーマとした作品です。この作品を読んでから「ブラックジャック」を読んだからですかね、医師には憧れるけれど、医学界にはよく分からない距離を取りたい気持ちが混ざっていきました。

1970年に「きりひと讃歌」で青年マンガから、1973年に「ブラックジャック」で少年マンガからのヒットを受けて、医療マンガという新しい分野がたちあがりました。医師免許保持者でありますが、医学知識は1954年で更新していなかったために、医学的な描写でのミスなどはありましたが、医学の基礎と大胆なフィクションを織り交ぜて、手塚治虫先生が、医療マンガという、特に手塚治虫先生としては「医療と生命」をテーマにした作品が出来上がり、未だに様々なリメイク作品が出来ています。例えば、主人公の医学生時代を描いた「ヤングブラックジャック」(2011年~2019年)を筆頭に「ブラックジャックNEO」「ブラックジャックM」などあります。

また、ブラックジャックの作品とは直接関係ありませんが、ブラックジャックが医療の社会問題を取り上げている作品として、名前を踏襲した「ブラックジャックによろしく」「新ブラックジャックによろしく」という臨床研修制度や健康保険制度の矛盾をとりあげたものから、医師会や日本赤十字社がブラックジャックセミナーという医師セミナーなど「ブラックジャック」は作品が名詞になるぐらいのものとなっています。


ブラックジャック」から分かる医療制度

医師免許制度に関して→主人公が無免許医師

国民皆保険制度→主人公の報酬に関してのトラブル

各国医療保険制度→主人公が世界各国で活躍することで

医局制度に関して→主人公の同級生と会う

安楽死に関して→安楽死受注医師ドクターキリコとのやり取りで

インターン制度→1967年以前は医師免許なしでインターン

原爆被爆者医療→主人公の家を建築した人が被爆者

整形外科の問題→主人公の義母

災害医療制度に関して→主人公の体験

人種問題・肌の色問題に関して→主人公の体験

自然保護→主人公の高額報酬の使い道

船医→主人公の昔の恋人:如月 めぐみエピソード

東洋医学・鍼灸→鍼灸師、琵琶丸とのエピソード

国民皆保険制度の賛否に関して→医師のストライキエピソード

医療倫理、訪問医療、等など

小学生の頃に、このようなジレンマを学んだために、医師や医学には憧れがありましたが、それらの活躍フィールドを創り上げる医療という分野の考え方を身に付きました。また、オタクやマニアは簡単に手に入る情報に興味をなくすといわれている通りのことが私におきました。医学が体系だっていて答えがわかっているのに対して、医療というものは、文化が異なったり、制度が異なったりすることでとらえ方が変わります。そもそも医療の常識から疑って調べてみたり、歴史から調べてみたりする楽しさが医療にはあり、私は医学ではなく、医療の専門家になっていきました。

堀江貴文氏がマンガは情報収集するのに効率的なものであると話されています。医療という世界に興味関心がある方は、是非ともその一歩として医療マンガというものを選んで頂けると医療とマンガ療法好きな私としては嬉しいです。ちなみに現在では、医療マンガは、やはりストーリーが創りやすい救急科や外科が中心としていますが、麻酔科や産婦人科など診療科毎にまで紹介出来る作品が出てきていますし、へき地医療や在宅医療などのフィールドによっても作品がたくさんできています。また、医師以外にも看護師や養護教諭、薬剤師の資格保持者を主人公とした作品も出来上がっています。また、「仁ーJIN-」のような、脳外科医師がタイムスリップするような話など複合された作品なども出てきています。

やはり、チャンスは、いろいろなところにあります。ワクワク喜ぶことを起業しましょう♪


今回紹介したマンガ 時系列

きりひと讃歌 1970年 手塚治虫 小学館

ブラックジャック 1973年 手塚治虫 秋田書店

仁ーJIN- 2001年 村上もとか 集英社

ブラックジャックによろしく 2002年 佐藤秀峰 小学館

ブラックジャックM 2005年 手塚治虫 イラスト秋乃 茉莉等 秋田書店

ブラックジャックNEO 2006年 手塚治虫 イラスト 田口 雅之 秋田書店

新ブラックジャックによろしく 2007年 佐藤秀峰 小学館

ヤングブラックジャック 2011年 脚本・田畑由秋、漫画・大熊ゆうご 秋田書店


紹介した小説

白い巨塔 1963年 山崎豊子

​執筆履歴

My OFFICE​

東京都墨田区両国4-15-6

  • Grey Facebook Icon
  • Grey Twitter Icon