• Kosuke Tsubota

開業するな!医療機関はもらえ!

「開業すれば儲かる」という医師の世界で言われている言葉があります。

実際には、「開業したからといって儲かるとは限らない」という夢を砕く現実や「開業資金という名前の借金を背負う」という生々しい現実、そして厚生労働省の医療施設動態調査をみれば、分かるのですが、毎年廃業や倒産をしている医療施設があるという統計的事実、医療コンサルタントが増加している事実から考え

られることや「“集患"プロフェッショナル 2016年改訂版~腕の良い医師が開業してもなぜ成功しないのか~」や「診療所経営の教科書【第2版】〈院長が知っておくべき数値と事例〉」という本が出版不況と呼ばれている昨今類似書籍がたくさん出版されて売れていることから考えられる事実など上げればきりがない程の理想と現実のギャップがあるのですが、どちらかというと、「開業すれば儲かる」という言葉は、勤務医であることから逃げ出したかったり、医師としてのレベルアップに疲れていたりする医師の中で話されている言葉なので、ネガティブデータは目に留まりませんし、よくある「自分だけは違う症候群」にかかってしまっているために、忠告しても無視されます。また、開業してもらうと融資先が増えるので嬉しい「金融機関」、処方数が増えるので嬉しい「製薬会社」や「検査会社」、契約数が増えるので嬉しい「医療廃棄物処理業者」、開業するというリスクを背負ってもらって甘い想いが出来る人々が多いので、「先生なら大丈夫ですよ!」とか「勤務が大変でしたら開業してはいかがでしょうか?」という無責任が言葉が世の中に溢れています。責任ある言葉を言うと、逆に「口うるさい奴」として距離を取られてしまうものです。


開業するな!の理由

「開業するな!」というのは、上記で記載したような現実がたくさんあふれているからです。開業というのは、起業と違って日本国内では皆保険制度という保険診療に守られているので、どちらかというとフランチャイズ事業と同じぐらいの難易度です。

ただ、一般的なフランチャイズ事業と違って、提供するサービスに対してかなりの自由度が高いために、ただ単純に経営をしてみたいならば、他のフランチャイズ事業を経営する方が簡単です。それよりも開業するならば、自分自身の中にある「どんな医療を提供したいのか?」という想いを具現化するための手段の一つとしてやっと「開業」という選択肢がうまれるものです。自分の実施したいことを実施するならば、リスクを選択してもいいものです。ちなみに、聖路加国際病院という病院が中央区築地にあります。こちらの病院は、2019年に発表されたNewsweekの世界病院ランキング(World's Best Hospitals)では、日本国内2位で、世界でも100位以内に入っている有名病院です。2014年に病院が大学に譲渡されたことから会計は大学と合計金額になりますが、約700億円の売上規模で、約100億円の利益、総資産約850億円、借入も少ない病院です。こちら医師と看護師の採用が比較的容易で人件費が抑えられている病院ですが、2016年に夏のボーナスの支払いが遅れた上に、ボーナスが10%カットというキャッシュフローに苦労するという経営難になっています。病院の組織内に、経営企画室をいち早く創り、様々な病院にヘッドハンティングされるような病院経営企画室を創り上げている病院が、苦しむぐらい医療経営は難しいのです。そして、医師として~~年目だったとしても、経営者としては1年生になることを開業する人は忘れています。是非ともドラゴンクエストというゲームで、「転職」することによって、職業経験値が下がってしまうことを経験して頂きたいものです。

医療機関はもらえ!の理由

手段の一つとしての「開業」があります。また、もう一つの手段としては、「事業継承」というものがあります。四国の某医療法人が起こした事件から、「医療法人の責任者は医師しかなれない。」という状況にあります。そのために、開業医の先生方は、子供を医学部にいかせたがりますし、子供の医学部の進学費用は、医療法人の経費計上として計算ができるような会計制度になっています。しかしながら、医学部に行くまでは、子供として同意していても、医療の専門分野、診療科や興味関心に関しては、親と異なることなどがあって、医療法人の事業継承が難しい状況となっています。また、いかに経営がうまくいっている医療法人でも、トップの医療法人を抜かすとほとんどが中小企業というよりも、零細企業というレベルの収支です。経営者によくいわれるものですが、自分ひとりで何か出来るのが「2億円のカベ」呼ばれるものがあります。そこを乗り越えた後に、やっとこさ「家業」「自営業」と呼ばれる個人経営会社という年商3億円世界に入って、次に「10億円のカベ」と呼ばれるものがあります。そのカベの向こう側に、純資産10億円を超えることで可能になる、いわゆるIPO上場と呼ばれる世界に突入します。多くの医療機関は、自営業レベルから脱却ができないために、何千・何憶という患者さんを救ったとしても、資本主義の世界では、事業規模が小さくて、事業売却及び事業継承のお手伝いをする日本M&Aセンターなどが取り扱うレベルではなく、誰も助けてもらえないような状況になっています。(そのような状況だから、お蔭様で私のような医療マニアにご相談の連絡がくるのですが。。)

最近では、そこに関してもお手伝いする会社も生まれてきていますが、事業規模からしては費用がかかりすぎてしまうために、なかなか事業譲渡や事業継承という、バトンを渡すことが出来ずに、廃業する医療機関が出てきています。そのため、バトンを渡すことを考えている医療機関に次期経営者として勤務して、経営を学びながら、患者さんの信用という最も大切なものを引き継いでいくスタイルで院長になることをおススメします。


といいながら、チャンスは、いろいろなところにあります。ワクワク喜ぶことを起業しましょう♪


関連ブログ

医療コンサルタントだから言える医療コンサルタント嫌い


関連サイト

厚生労働省医療施設調査・病院報告(結果の概要)

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1a.html

​執筆履歴

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