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  • Kosuke Tsubota

院内の安全を問う。入院患者に刺される

去る2019年8月9日愛媛県医療法人誓生会松風病院にて悲しい事件がありました。

医療保護入院として、誤解を恐れずに言えば、強制的に入院されていた患者さんから看護師が3名、警察官が1名刺され、亡くなるという事件が起きました。人の命を守る仕事をしていた4名の方々が、命を落としてしまうことになったのは、神様の皮肉にしては酷すぎる事実です。このニュースを理解するためには、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律を知っておかないと理解できないものです。また、これらの法律も平成の間だけでも、平成7年、平成11年、平成17年、平成25年と改正されていて、知識の更新もしないと分からない報道です。

医療保護入院とは

ニュースで記載されている医療保護入院ですが、こちらは、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の第33条に記載されている入院の方法です。下記厚生労働省のWEBから引用します。

”【対象】 入院を必要とする精神障害者で、自傷他害のおそれはないが、任意入院を行う状態にない者

【要件等】 精神保健指定医(又は特定医師)の診察及び家族等のうちいずれかの者の同意が必要 (特定医師による診察の場合は12時間まで) ”

これだけですと、他に「自傷他害(自分自身か他人、他の資産等に被害の可能性がある状況のことを言います。)」「任意入院」という言葉を知らないと理解出来ないと思いますので、同じページから入院方法に関して抜粋致します。

" 任意入院(法第20条)

【対象】 入院を必要とする精神障害者で、入院について、本人の同意がある者 【要件等】 精神保健指定医の診察は不要

措置入院/緊急措置入院(法第29条/法第29条の2)

【対象】 入院させなければ自傷他害のおそれのある精神障害者 【要件等】 精神保健指定医2名の診断の結果が一致した場合に都道府県知事が措置(緊急措置入院は、急速な入院の必要性があることが条件で、指定医の診察は1名で足りるが、入院期間 は72時間以内に制限される。) "

乱暴にここの部分を説明すると、下記になります。

1)入院を希望する患者さんは入院が出来ます。

→任意入院(法第20条)


2)人に迷惑かける患者さんは入院してもらいます

→措置入院・緊急措置入院(法第29条)


3)入院必要と専門医と家族が判断するのに、入院を拒否する患者さんは入院可能です。→医療保護入院(法第33条)


ちなみに、この場合の家族という定義は、優先順位なく、配偶者、父母(患者さんが未成年の場合:両親揃っていることが望ましい)、祖父母、子、孫、兄弟姉妹、後見人又は保佐人、家庭裁判所が選任した扶養義務者となります。ご家族がいない場合は、患者さんの居住地の市区町村の首長が代理となります。

今回のニュースをみると、患者さんが入院から逃げ出したかったために、暴力的な措置をとっていったと考えられます。本人の同意がない状況での入院であったために、松風病院森野日出緒院長が持ち物検査などの不備があったことの謝罪記者会見というものになりました。

患者さんの意図に沿っていない入院とはいえ、人の命を奪うことが許されるわけではありませんが、改めて病院内の安全というものを別の意味で考えさせられる事件になりました。

日本看護協会の発表によると、現在、患者さんから暴力をふるわれたことがある看護師の数が約60%となっていて、モンスターペイシェントと呼ばれ問題となっています。今回のケースでは、モンスターというよりも、キラーペイシェントでありますが、医療従事者が資格職の能力を最も発揮できるように、安全体制というものを改めて考え、同じような事件が起きないようにすることが重要です。

ちなみに医療法人誓生会松風病院は、ホームページのトップページから直接、危険・不審人物対応のページリンクがされていて、多くの病院と比べたらかなり意識が高い病院です。(参照:危険・不審人物の対応について)そのような病院でも起きてしまった事件ということ、慈恵医大病院がモンスターペイシェント対策に警察官OBの採用を実施し、その手法は全国の病院に広がって活きました。

まだ、全国に広まっておりませんが、慈恵医大病院は研修医に対して護衛の研修まで実施しているぐらい徹底としています。ヒポクラテスやナイチンゲールのように患者さんに寄り添う気持ちを忘れてはいけないものですが、医療従事者の身をしっかりと護る仕組みの重要性を引き継がなければならない事件です。お亡くなりになられた方々、その家族の方々のことを考えると事件を活かし発展するようにしなければならない。院内の安全というものに関しての視点は、モンスターペイシェントという言葉が生まれてきましたが、まだまだ対処法としては解決策が出来上がっていない分野です。医療従事者の安全がないと、患者さんの笑顔がうまれない。患者さんの笑顔がうまれないと、家族の笑顔がうまれない。家族の笑顔がうまれないと、地域の笑顔はうまれない。

是非とも、地域の笑顔のためにも、医療従事者の方々の安全を創る仕組みを創り上げたいものです。いつものように、「チャンスは、いろいろなところにあります。ワクワク喜ぶことを起業しましょう♪」と言いたいところですが、今回は内容が内容なだけに、世の中の安全のためには、まだまだ様々な課題があります。人の笑顔を創るための仕事はたくさんあります。笑顔を創るための起業、喜びを創る起業をしましょう。


医療法人誓生会松風病院に関して:ウェブより抜粋

http://matsukaze-hp.com/

精神科・神経科・内科

~時の流れとともに、ニーズに合わせて~

初代院長 山内繁雄が大正13(1924)年6月現在の病院敷地内に山内医院を開設。昭和31(1956)年8月山内病院に改組し、標榜科を内科・呼吸器科とし病棟を増設、その後、神経科・精神科を増科し、一般14床、精神科11床、結核24床。さらに小児科・外科を増科。

昭和41(1966)年7月医療法人に改組し、当時の病床は一般30床、精神科201床、結核12床。

昭和49(1974)年1月一般病床を新築、一般57床、精神科233床、結核12床。

昭和57(1982)年9月、2代院長、理事長山内育郎のもと精神科病床を新築。

平成2(1990)年10月、現院長 森野日出緒、理事長 山内紀子の体制で運営を開始。

平成7(1995)年以降、新看護基準の新設を契機に看護基準の類上げを実施。

平成11(1999)年、介護保険が創設されることになり、介護保険サービスに参入。

平成11年11月、老人保健施設ちかい(入所80床等)開設し、在宅介護支援センター(居宅介護支援事業所)、訪問看護ステーションを併設。

平成12(2000)年2月、一般病棟を改修し、療養病床に転換。

平成12月12月、療養45床、精神科216床に病床を減少し、外科の標榜を廃止。

平成15(2003)年12月、精神科作業療法を開始。  ① 従来の精神科病院の暗いイメージを払拭し、地域に開かれた明るいイメージの施設。  ② 個室化、病室の少人数化を実施し、癒される療養環境を整備。  ③ 敷地内に分散化している施設設備を整備、集約化して機能の効率化。  ④ 防災上の安全性の向上。  ⑤ 設備の省エネルギー化。

前記の5項目を目的として平成16(2004)年12月~平成19(2007)年5月医療近代化施設整備補助金事業の補助を受けて、新病棟建設・一部病棟改修工事を実施。 平成19年2月に『松風病院』と名称を変更。小規模通所介護デイサービスのぞみを併設。療養病床45床、精神病床204床。 平成19年11月、小児科・呼吸器科廃止。平成21(2009)年6月、精神科デイ・ケア開設。平成21年12月、心神喪失者医療観察法に基づく指定通院医療機関に指定。平成25(2013)年5月、個室確保のため南棟改修工事を行い、南棟の病床を削減。 東棟の精神療養病棟、認知症治療病棟の病床を増設し、精神病床204床を維持。

第2次世界大戦、戦後の混乱、高度経済成長、現在の少子高齢化社会へと時代の変化に応じて、必要とされる形に変わりながら現在に至る。


森野日出緒院長

1983年愛媛大学医学博士


最期に

当事件で命を落とされた方々のご冥福をお祈り申し上げます。